ブラック企業正社員が奨学金を返せず自己破産した話

当時23歳。航空業界某下請ハンドリング会社事務職。正社員でも奨学金返済ができず自己破産した経緯を語ります。

きっと今年あの会社は潰れる

私が勤めていた企業は航空業界の単純作業を請け負う会社だ。 航空業界。昨今悲しいニュースしか報じられない、そして今最も危機に晒されている業界だ。ただでさえ、あんなレベルの中小企業は、この新型コロナウイルスの影響でバタバタと倒産していくであろう…

社内モラルで分かるブラック企業の特徴

仕事は自分が新人だから至らないのかもしれない、こういった苦しみを乗り越えてこその社会人なのかもしれない、と新入社員はとにかく我慢をしてしまいがちです。私も仕事内容だけに疑問を抱いているのであれば、こんなに早く転職を考えることはなかったでし…

OJTで分かるブラック企業の特徴

たった一週間の、形ばかりの座学を経ていよいよ現場へ。そこで広がる完全なる「地獄絵図」を見た私は、これはとんでもないところに来てしまった、と確信しました。 ・「今日から配属の●●です、よろしくお願いいたします」と挨拶しても先輩の返事が「はぁ…」 …

入社~座学研修で分かるブラック企業の特徴

この辺りが、逃げ出せるギリギリのラインになります。 【入社式】 ・そのへんのレンタルスペースなど、あまりにも簡素な場所で行われる →ホール等を持ったり借りたりする資力もない。また、新入社員にとっては一生に一度の思い出深い日を、「まあこんなもの…

内定後~入社前に分かるブラック企業の特徴

【連絡編】 ・内定のお知らせ以降音信不通 →まあ「音信不通」は言い過ぎかもしれませんが、内定者懇親会・研修・内定式といった行事は一切ありません。そういった出費を抑えたいほどひっ迫しているケースと、内定者に至れり尽くせりサービスをするモチベーシ…

採用過程で分かるブラック企業の特徴

【面接前編】 ・提出物が異様に少ない →志望動機や作文、学生時代の成績等こちらが準備しなければならないものが少なく、儀礼的に「履歴書だけ持ってきて」と言われる。多角的に志望者を見よう、そして厳選しようという意志が見られない。 ・事前提出物が到…

面接前に分かるブラック企業の特徴

【求人広告編】 ・毎月のように求人が出されている →よくある特徴。退職者が多いという意味に他なりません。 ・「若い人が多い職場です」「20代活躍中」 →社員はいても数年。そのため、社員を「どうせ辞めるんだろう」という色眼鏡で見て、使い捨てにするこ…

アッパー系ブラック企業とダウナー系ブラック企業

ブラック企業の特徴は、気を付けて見て入れば案外簡単に分かるものである。私が勤務していたブラック企業は悪い意味での体育会系で人を酷使するタイプでのブラック企業ではなかったため、ブラック企業とはとにかく体育会系のものだ、と思っている方にとって…

正社員就職

派遣社員として就労したのは某大企業の営業事務だった。一応前職は貿易事務というカテゴリーに入るのかもしれないが、事務らしい事務は何もしていなかっためまっさらな未経験者として営業部に配属された。もちろん一般職は責任のある仕事、クリエイティブな…

社会人としての自分の育て直し

ブラック企業では細分化された作業しか与えられていなかったため、私には社会人としてのスキルが何も揃っていなかった。そのため、就労開始より先にビジネスマナー及びパソコンスキルを学ぶためにしばらく派遣会社の本社に通った。 派遣社員であった時期はあ…

止まらない自己嫌悪

ブラック企業からの「退職なんかさせない」「早く出勤しろ」という電話連絡がやむのと免責許可決定はほぼ同時だった。私は実家に戻り、派遣会社に登録し、とりあえず正社員就職を目指すまでという条件で派遣社員としての業務を始めた。 両親は、自己破産につ…

免責審問、そして免責許可へ

弁護士と委任契約を結ぶと、その翌日から督促の電話も手紙もなくなった。弁護士を立ててまで返済を拒否するなんて逆上させてしまうのではないかと思ったが、債権回収会社にとっては破産手続に入ることを告げられたら「そういうもの」と納得するしかないらし…

自己破産のデメリット

「本当に大丈夫なんでしょうか…」 手続は意外に簡易なものであり、ハードルもそう高くない。しかし私は、まだ払拭しきれない不安が多く残っていた。 借金がまったくなくなるなんて、夢のような話だ。だからこそ、メリットしかない手続きであったら誰もが自己…

債務整理の種類

弁護士が説明してくれた話を要約すると、債務整理には三種類ある。 ①自己破産 借金を完全にゼロにする手続。裁判所の許可が必要であり、職業制限がある、一定期間ローンが組めないなどデメリットも多い。 ②任意整理 債権者と交渉し、返済可能な額まで借金を…

弁護士に相談する

「緊張されてますか?」「…」 お茶を入れてくれた事務員さんの問いかけにも満足に答えられないくらい、私は緊張して縮こまっていた。無事に…というよりかなり強引にブラック企業を退職してすぐに、私は債務整理専門の法律事務所を訪ねていた。 どうなるのだ…

休日の予定を組めない

「転職活動中は在職しておくべき」多くの転職推進サイトで言われていることだが、私が速攻ブラック企業を飛び出したのは、在籍していても転職活動がまったくできないという理由があった。 もちろん夜勤を含むシフト制だから、昼間も寝ていなければいけないと…

退職届を出す場所がない!?

「限界です。退職させてくださ「困るんだけど」 上司は私の目も見ずにぶっきらぼうに言った。 「退職届も書いてきました。受け取ってください。」 「俺が受け取るべきじゃねえし」 「ではどなたに提出すればよろしいですか?」 「知らね」 まだ転職先は決ま…

キャリア形成ができない恐ろしさ

「お辞めになった方がいいとは思いますが…今のご経歴ではちょっと…」 転職エージェントのスタッフは、言いにくそうに言葉を濁した。 「最低限、お金に困らない生活さえできれば構わない」これだけの条件を掲げて転職エージェントに駆け込んだ勇気がしぼんで…

督促状との戦い

返せない。奨学金も、カードローンも返せない。家賃も払えない。 何も買えない。でも、買わないといけない。文房具を買い足さなければ仕事にならない。栄養ドリンクを買わないと死んでしまう。 精神安定剤も手放せない。お酒…これは飲まなくてもいいし、こん…

破綻の始まり

「…はい、申し訳なく思います…はい、明日こそ、本当に…」 目の前にいない相手に猛烈に頭を下げながら、やっとスマホを耳から外す。溜息が病室の白い天井に広がっていった。 めちゃくちゃな夜勤シフトに体が悲鳴を上げ、私は退勤中に倒れた。幸い、倒れた場所…

止まらない借入

(…結構簡単だな) 某消費者金融の無人契約機から出ながら、私は乾いた笑いを漏らした。 「じゃ、二件目行こう」 「え、これだけで十分じゃないの?」 何言ってるの、とでも言いたげに同僚は肩をすくめた。 「一件だけじゃ返せなくなったときのために、保険…

消費者金融への誘い

「お金がない…」 空っぽのドデカミンの空き缶を休憩室のテーブルに置きながら、私は情けない声で呟いた。すっかり酒焼けした声だが、この独特の声質もこの会社では目立たなかった。 「あんた、親元からいくら送金してもらってんの?」 「えっ、社会人が貰う…

体力と余裕がなければ自炊はできない

独り暮らしをするOLが節約を意識するときに、必ず削ろうとするのが食費である。作り置きをしたり、お弁当を持参したり、安い食材を工夫して買うなどすれば、少しずつでも貯金は可能である。 こう書くと自炊は何とも簡単なものであるように思えるが、実際これ…

備品まで各自で用意ですか?

女性は社会人になるだけで何かとお金がかかる。化粧をするのは当たり前として、スーツ、あるいはオフィスカジュアルと呼ばれる服装を一通り揃えなくてはならない。 私は制服がある職場だったがオフィスカジュアルでの通勤を厳命された。その上、航空業界で働…

こんなに使いたくない、医療費・薬代

こうして早速会社への不信感も生まれ、金銭面での心配も背負ったところで、私の社会人生活が始まった。1週間(短い…)の座学を経て、航空業界の知識どころか社会人としてのマナー・常識すら分かったのか分かっていないのか、という状態で、私は現場に出るこ…

家賃を抑えたい

事務職は一般的に、給与が少ない。 そこで、特に「一般職」という部類で採用される女性たちは、支出の多くを占める家賃をなんとか抑えるために、以下のような工夫をする。 ①親元から通う。銀行の一般職などは、これが前提となっていることすらある。 ②安い社…

えっ、給与ってこれだけですか?

「事務職で、手取り20万円以上」 これだけ聞けば、今や都内でも優良企業の部類に入るであろう。もしそれが、「基本給≒手取り」であり、「年間休日120日以上」であり、「月曜日~金曜日の昼勤務」であれば、の話だけれど。 上記の情報をざっくりと聞かされ…

23歳OL、自己破産への一歩

23歳。世間からすれば、それは「あまりにも若い、若すぎる」と言われる年齢。まだ社会の荒波にも揉まれず、人生は希望に溢れ、時には無謀な挑戦もまだ許される。そんな年齢。 「自己破産」は、その年齢で背負うにはあまりにも大きく、重く、この先の長すぎる…