ブラック企業正社員が奨学金を返せず自己破産した話

当時23歳。航空業界某下請ハンドリング会社事務職。正社員でも奨学金返済ができず自己破産した経緯を語ります。

体力と余裕がなければ自炊はできない

独り暮らしをするOLが節約を意識するときに、必ず削ろうとするのが食費である。作り置きをしたり、お弁当を持参したり、安い食材を工夫して買うなどすれば、少しずつでも貯金は可能である。

こう書くと自炊は何とも簡単なものであるように思えるが、実際これは体力と余裕がなければできないものであり、毎日命を削るように睡眠欲と戦い、日々怒鳴られ、机を叩かれ、人格もこれまで生きてきた人生そのものも否定され、事務職との触れ込みでありながらなぜか寒空の下をヘルメットをかぶって走らされ、退勤と同時に涙が頬を伝い、帰宅した途端倒れこむ…こんな生活をしていては、レシピを考える脳の機能が停止し、キッチンに立つ元気もなかった。

更に会社が指定した住居区域はスーパーがまったくない住宅街で、工夫して買い物をするということがそもそもできなかった。最初は頑張ってネットスーパーなどを利用していたものの、調理をする体力が枯渇していれば買ったものも腐らせるだけとなった。

空港には必ずといっていいほど全てのフロアにコンビニがある。ここに日参するようになるまで長くはかからなかった。コンビニ弁当を買って、殺風景な部屋のちゃぶ台に侘しく広げる。疲れているはずなのに食欲はどうもわいてこず、結果あちこちつまみ食いした程度のお弁当を生ごみ入れに突っ込む。

こんな寂しいOLにだけは、絶対になりたくなかった…

カップ酒で精神安定剤を喉に流し込む。アルコールを口にしないと、この心も体も蝕む現実から逃れられなかった。