ブラック企業正社員が奨学金を返せず自己破産した話

当時23歳。航空業界某下請ハンドリング会社事務職。正社員でも奨学金返済ができず自己破産した経緯を語ります。

備品まで各自で用意ですか?

女性は社会人になるだけで何かとお金がかかる。化粧をするのは当たり前として、スーツ、あるいはオフィスカジュアルと呼ばれる服装を一通り揃えなくてはならない。

私は制服がある職場だったがオフィスカジュアルでの通勤を厳命された。その上、航空業界で働くため髪はシニヨンに結い、スプレーで固めなければならなかった。化粧をするのも言わずもがな。これだけでも懐が寂しくなるところだが、これは女性ならば誰もが経験する社会人の通過儀礼である。

しかし、自己負担で揃えなくてはならないのは、これだけではなかった。

筆記用具・OJT用のノート(航空業界では俗にあんちょこと呼ばれる)・付箋・蛍光ペン三種類・マジックペン・はさみ・カッター・ホチキス本体及び芯・ホチキスの芯を外す器具・ティッシュ・ハンガーを10本程度…

ブラック企業あるあるとも言える「備品自己調達」。どれも使用頻度が高いので常に買い足していかなければならず、細かい出費が地味にかさんでいった。

…とはいえ新卒就職だった私は、これが社会というものだとまったくこの企業の異常さを疑っていなかった。現在の職場に転職した際、自分のデスクに事務用品一式がすっかり揃っていたのを見て「すみません!立て替えていただいたんですね、払います」と言ってしまったときの引きつったような先輩の顔は、今でもはっきり覚えている。