借金地獄
返せない。奨学金も、カードローンも返せない。家賃も払えない。 何も買えない。でも、買わないといけない。文房具を買い足さなければ仕事にならない。栄養ドリンクを買わないと死んでしまう。 精神安定剤も手放せない。お酒…これは飲まなくてもいいし、こん…
「…はい、申し訳なく思います…はい、明日こそ、本当に…」 目の前にいない相手に猛烈に頭を下げながら、やっとスマホを耳から外す。溜息が病室の白い天井に広がっていった。 めちゃくちゃな夜勤シフトに体が悲鳴を上げ、私は退勤中に倒れた。幸い、倒れた場所…
(…結構簡単だな) 某消費者金融の無人契約機から出ながら、私は乾いた笑いを漏らした。 「じゃ、二件目行こう」 「え、これだけで十分じゃないの?」 何言ってるの、とでも言いたげに同僚は肩をすくめた。 「一件だけじゃ返せなくなったときのために、保険…
「お金がない…」 空っぽのドデカミンの空き缶を休憩室のテーブルに置きながら、私は情けない声で呟いた。すっかり酒焼けした声だが、この独特の声質もこの会社では目立たなかった。 「あんた、親元からいくら送金してもらってんの?」 「えっ、社会人が貰う…