ブラック企業正社員が奨学金を返せず自己破産した話

当時23歳。航空業界某下請ハンドリング会社事務職。正社員でも奨学金返済ができず自己破産した経緯を語ります。

督促状との戦い

返せない。奨学金も、カードローンも返せない。家賃も払えない。

何も買えない。でも、買わないといけない。文房具を買い足さなければ仕事にならない。栄養ドリンクを買わないと死んでしまう。

精神安定剤も手放せない。お酒…これは飲まなくてもいいし、こんなものを飲んでいるから自己破産するんだと言われそうだが、飲まなければ精神がもたない。

不幸は重なるもので、残業代が払われなくなった。残業代は飛行機が遅延した時など業務が客観的に見ても著しく遅れたときのみで、それ以外の残業は「ダラダラ仕事をしていた自分が悪いんでしょ?」と、一切出なくなった。この頃の私は食事休憩を取らず9時間ぶっ通しで仕事をし、1時間分を残業扱いで稼ごうとしていた。そうでもしないと仕事が多すぎて間に合わない、ということもあったのだけれど。しかし、もうそれもできない。しかしOJT中トレーナーは食事休憩を取ることすら許されなかった…結果、サービス残業だ。

給与は相変わらず雀の涙であり、ボーナスなど出るはずもなかった。

今月は、奨学金と一社目のカードローン。

次は、二社目のカードローンと家賃。またその間に一社目から借り入れをして…

もっと借り入れを増やさないと首が回らない…

業務を終えると、スマホに見慣れない着信履歴が並ぶ。督促だ。スマホの画面を見ることすら怖くなり、その頻度がどんどん上がっていることにも言いようのない恐怖を覚える。

ポストには毎週のように何らかの形での督促状が舞い込む。マンション管理会社、奨学金機構、カードローン、そして見慣れぬ債権回収会社

私は既に不良債権となっていたのだ。生々しい「債権回収」の文字は、私が徹底的に追い込まれる「債務者」であることを否応なしに自覚させられた。

払いたくないわけではない。払えないのだ。こんな生活をしている以上、どんなに払いますと言ったところで、払えるわけもない。この会社にいる以上は。

(…転職しよう)

そう決意したのは、入社してたった半年のことだった。