ブラック企業正社員が奨学金を返せず自己破産した話

当時23歳。航空業界某下請ハンドリング会社事務職。正社員でも奨学金返済ができず自己破産した経緯を語ります。

えっ、給与ってこれだけですか?

「事務職で、手取り20万円以上」

これだけ聞けば、今や都内でも優良企業の部類に入るであろう。もしそれが、「基本給≒手取り」であり、「年間休日120日以上」であり、「月曜日~金曜日の昼勤務」であれば、の話だけれど。

上記の情報をざっくりと聞かされていた私は、入社式で渡された労働条件通知書を前に、周囲のざわめきがぷっつり途切れるのを肌で感じた。

「基本給12万円 職能給8万円」「年間休日:95日(夜勤明け含む)」「夜勤:ひと月あたり10~15日程度」

(えっ…これ何?)

こちとら新卒。取柄はまっさらな染めやすさだけであり、「職能」なんてまったくない。そして「基本給20万円」と記せばいいものを、この不自然な分け方は何?そして年間休日。そういえば選考過程でまったく言われなかった。極めつけに夜勤。「女性は配慮するから。月5日くらいにするからね」とたしかに私は、この耳で聞いたはずなのに…

まさか、と思い、入社一日目の昼休みに、労働関係の弁護士相談サイトを開く。割増賃金や賞与はすべて、手取りではなく「基本給」をベースに計算されること。そして正社員の時給換算の計算方法。数字をタップする指がガクガク震えてくる。

(やっぱり…)

液晶画面に表示された最低賃金ぎりぎりの数字を、私は直視できなかった。